わたしを離さないで 7〜最終話ネタバレあり

怒涛の展開に引き込まれ、3日間で9話見切りました。Amazonprimeでは7話から見れずhuul?を無料お試し登録することに。忘れないように解約しなくちゃ。

見きったみて1番心に残ったのは
「わたしを離さないで」このセリフを言う2人の登場人物(女性)の対称性です。
この物語の前半は設定への不憫さもありつつほとんどは美和へのモヤモヤに持ってかれてます。そんな美和が解体に散っていくまでのしおらしさやそれでもやっぱり美和なところ。最後の最後まで自分を助けてくれるかもしれない存在に縋り付き絞り出す「わたしを離さないで」は生きることへの執着に溢れ、なんとも生生しくて心締め付けられました。そんな美和を前半では「偽善」と言われていた「天使」を用いて諭して見送る恭子。先生の言葉は嘘でなかった(けど本当でもないけど)と胸が締め付けられます。
子ども時代大人から聞く言葉ってこういうものが多いですよね。ドラマの設定は極限だけど、なぜか共感できてしまうんです。
一方の恭子が絞り出す「わたしを離さないで」は死に行く恋人トモの腕の中で。生死を超えて、安らげる場所へ一緒にいきたいともとれるような。なんとも切ない「離さないで」。恭子唯一のわがままなんではないでしょうか。ようやく誰かに何かを求めた恭子。その相手はやっぱりトモだったんだな、と。トモはおならするわ癇癪おこすわ、自分の親友とホイホイ付き合って同じ屋根のしたでヤルような男なのに。なにがそんなにいいの?子ども時代のCDがそんなによかった???なんて言いたくなるオバサン心をなるべく無視して、2人の回想シーン(劇中歌で踊る幼少期)を思い出します。トモといるときだけ恭子はなにも考えずに笑えてたんだよな....と。
あのダンスのシーンとマダムの涙もなかなか深い意味があるんですよね。恭子とマダムの会話でハッとしました。
そんな2人のやりとりや、結局みんないなくなってしまう哀しい物語、だけどそこまで悲壮感や置いてけぼり感を感じないのは、恭子という女性の一生に寄り添ってるこの構成だからかなぁと。クローンの是非をとうならもっと「外」を描くだろうし、もっと差別やその他色々な要素が強くなったはずですが、あくまで恭子とその周りの人々の機微をつぶさに描く。この狭い世界観だからこそ不思議なリアリティが生まれてきます。
私自身の人生をなぜか重ねて、臓器提供のシーンなのに出産(帝王切開手術でした)を思い出したり。生きていくことは直接的ではないにしろ「提供」して「残す」ことなんですよね。クローンという設定を使って「人生」を静かに生々しく描き出した傑作だと個人的には思いました。原作はより救いがない?とか聞きますが、読んでみようかな。