シェイプオブウォーター ネタバレ感想

2017年公開 アカデミー賞13部門ノミネートなど当時話題になっていた作品

といいつつ私は当時子育てが忙しすぎて見れてなかったのでAmazonでレンタル300円。


日常と非日常が交錯する美しい冒頭から作品世界に引き込まれます。冷戦時代のアメリカの田舎町で慎ましやかに生きる女性と、未開の地からつれてこられた生物が出会い、恋に落ちるお話。


主人公のイライザの生活は昼夜逆転。夜は掃除婦として働き、朝ごはんを隣人の高齢絵描き(ジェイムズ)と食べたりして、眠り、また、夜には掃除。そんな単調な独身の生活です。

起きてからゆでたまごを作り、その間にバスタイム 、トイレにでも行くかのようにラフに映し出される自慰シーン。そして出勤。

出勤先の研究所では黒人の友人(ゼルダ)もいて、規則正しく真面目で優しいイライザの人柄が伝わってきます。

その生活が、新しい研究対象(半魚人?)とその監視役(軍人ストリックランド)の登場によって一変します。

軍人ストリックランドの奥様はブロンドヘアーで子供が2人、もろアメリカンスタイルなんですよね。絵描きのジェイムズが商業用に描くよう指示をうける「ハッピーファミリー」そのもの。
そして作中のセリフから、舞台がボルチモアだとわかります。ミュージカル映画「ヘアスプレー」もボルチモアでのお話。60年代古き良きアメリカといえば、この土地なんでしょうかね。

そんなストリックランドが奥様との行為中にいう「静かにしてくれ」、彼は何もかも持っているはずなのに喋れない、特に美人でもないイライザへ惹かれているのがわかります。

一方、半魚人との愛?交流?を深めているイライザ。目を見れば彼が私をみてくれるのがわかる。私に欠けているものではなく、私自身をみてくれている。
決して豊かとは言えない生活のなかで、半魚人のためにゆでたまごをつくり、音楽をかけ、ダンスをするイライザ。彼女が自由に表現をできるのは彼の前なんです。


この映画は、この半魚人が気持ち悪いとか、流血シーンも多く、酷評もあるようなのですが、
「私自身をみてくれる」これが恋のはじまり愛の深まりなのです。見た目や職業 地位その他もろもろ外側は関係ない!!ということを全力で伝えてくれてる気がします。(私には)

そして軍人ストリックランドの気持ち悪い求愛....イライザの気持ちなんてなんにも考えてないですよね。
カッコよくてなんでも持っている軍人ではなく、私だけをみてくれるアウトローな彼に惹かれてしまう。それは当たり前!!!!というか美女と野獣でも描かれているよくあるテーマではないでしょうか。

ラスト、半魚人がイケメン王子へと変身॑⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝⋆*とは行きませんが、なかなかロマンチックなハッピーエンドです。

流血スリルとユーモアで描いた監督ならでは御伽草子。個人的には楽しませてもらいました。けど流血はやっぱ苦手なので途中掃除したりして目を逸らしたところは多々あります(すみません)


タイトル シェイプオブウォーターのとおり「如水(みずのごとく)」様々に形をかえる形なき愛を感じた作品でした。